FC2ブログ
2011年06月18日

●さよならを教えて~comment te dire adieu~

~さよならを教えての感想です~(表現の関係で 若干のネタバレの可能性がありえます)
【シナリオ】
ゲームのプロローグから 強烈なグロ絵で始まり、
キャッチコピーの示すとおり、"狂気"をテーマにしている作品です。

ストーリーの始めでは、主人公の見る"世界"はまだ明確な形を成しているのですが、
終盤へと進むにつれ、徐々に 彼の見る"世界"が 現実 か 妄想 か区別がつかなくなっていきます。

もちろんそれは、ゲームの主人公だけに当てはまるのではなく、
プレイヤーの視点から見ても、『主人公』が見ているモノが 現実なのか 妄想なのか
その境界線がどこにあるのかわかりにくく、
『主人公』のように、思考がぐちゃぐちゃと混ぜられるような 不思議な感覚に取り込まれます。

中盤~終盤になると、その歪んだ世界の中に 非人道的 道徳的な要素が含まれていくため
"魅せる"という意味で、非常に良く考えられている"鬱ゲー"でした。
私自身、終始何か 得体の知れない気持ち悪さのようなモノが身にまとい
本作をプレイしている間、妙に鳥肌が立つことが多かったです。

しかし、1周目の終わりで この作品の"種"が明かされ
2周 3周と他キャラのルートを攻略するにつれ、
このゲームにおける 『さよなら』 の意味とは何か?(後述) が徐々に見えていき、
不明瞭な気持ち悪さが、『主人公』に対する 憐れみというか、何とも言いがたい同情心のような気持ちに変わり、
最終的には『鬱ゲー』というか、むしろ"奮起を促すような 前向きなゲーム"に感じられました。

このゲームが鬱ゲーと呼ばれる要素に、
どのルートのENDでも、結局 主人公は救われない という点があるのですが、
僕の考え方が少しずれているだけかも知れませんが、「え、むしろホントはとても前向きじゃ?」と思えたのですが、
それも 『さよなら』 を深く考えた結果の一つでしたり。


私が感じた 『さよなら』の意味
それは、"妄想から 現実への帰還"です。

ストーリーの中では、
自己嫌悪や現実に対する悲観が終始出てきており、
一見すると、彼は"自ら望んで その空間に留まっている"ように感じられます。

しかし、終盤に 『救いを求めているからこそ、相手を救おうとする』と書かれていることから、
決して "妄想の世界にずっといたい"とは思っていないと受け取れます。
事実、エピローグ部では『現実を見ようとしている』ような描写があります。(一見すると読みづらいですが・・・)
実際は、彼が現実だと思っている世界も 偽りなのですが。

『主人公』が最後の最後まで現実を見ることが出来なかった理由。
それは 本編の最後に 『自身』で言っていた事から察するに、
『今の自分に意味がない』と自らの存在に嘆いているからでしょう。

メインヒロインである 『睦月』のエピローグでは、そういった意味で 希望があると書かれていたのだと思われます。

また、メインヒロイン以外でも
『主人公』が 自分自身の"汚れた一面"と向き合い、清算させる事で 人として成長しようとしているという事も見受けられます。


この作品のタイトルである 『さよならを教えて』の意味するところ、
それはきっと、
"誰か僕に生きる意味を下さい" という事なのだと思います。
『本当は現実をしっかり見たい、だけど 自分のような意味のないような人間じゃ きっと、
誰も僕を見てくれない    僕を見て欲しい  何だってするから』

というような、切ない思いが込められているのだと感じました。
だからこそ、最後までこの作品の主人公は"何かになりきろうとした"のだと思われます。 


【テキスト】
話としての道筋はしっかりしていながらも、わざと支離滅裂な展開を設けていて
『狂気』の名に相応しいような文章構成でした。
句読点を意図的に取り除き、とにかく『思考』『感情』を全面に出している 地の文であったり、
整合性のなさが、この作品における 世界観を忠実に描いており 素晴らしいテキストでした。
伏線に関しても、しっかりと回収されており 話としてきっちりまとめあげられていました。

【システム】
バックログはPageUp Downキーで、シーン内のみ
自動再生機能なし
ショートカットキーがなく、すべて右クリックでメニューから
とまぁ、至らない点をあげれば色々あるのですが、
今から10年も前のゲーム だと考えるなら、これが普通なのかも知れません。


【CG・MOV】
描写がちょっとアレなものもありますので(一部トラウマ系あり)
一般ウケはしないと思われます。
血 臓腑 奇形 生理的不快感 色々あります。

枚数はちょっと物足りないかも知れません。
といっても、話自体がそれほど長くないため CG枚数も仕方がない といえば仕方がないのかも知れませんが。
ちょっと使い回し(そもそも状況が一緒なのでやむを得ないのかも)が目立つ かなといったところです。


【音楽】
学校の 『チャイム』 これには鳥肌
最初は変わっていくチャイムの音に不快感を感じましたが、
これもまた"意味のある物"だと感じてからはそれほどでも。

キャラクター設定によく合わせられて キャラBGMが作られており、
キャラのイメージがつかめると 特に 『まひる』 や 『望美』あたりはかなり合ってるなと。


テーマソングの『さよならを教えて』は一度聞くと謎の中毒性が。
これもさよ教の恐怖か・・・。


【エロ】
この作品においてのエロは、
エロというより"儀式"のようなものがあります。
"さよ教"において"白"という色は "現実"というような意味があるのですが、
主人公が白濁液を出す行為 それはつまり"現実に戻る"という意味合いもあるような気がします。
しかし 彼にとって"現実"は忌避すべき事なので、『本当の現実を見ずに、今の彼にとっての現実に戻る』という事で 行為の後 が飛んでいるのだと思われます。

なので、エロシーンという感じがあまりせず 抜きとしてはちょっと弱いかも知れません。

【総評】
《84点》
+テーマに二面性があるように感じられ、考察面でも非常に面白いシナリオ。
+通常では考えられないような文章だが、普通じゃない為 独特の味がある。
-シナリオにて、各個別ルートで他キャラの種がわかるような描写があった為 少し気が削がれた。

-評価に書いたように、他キャラの事までネタバレされるため
1キャラ終えてしまうと妙な悲しさが生まれてしまいました。隠しておいてほしかった・・・!
しかし、他ではマイナス要素になるようなところが見られず、
むしろ 考察での面白さや 一度読むと忘れられないような雰囲気と一体化した文章で、
類い稀なる優れた作品になっています。

世間一般的には、"鬱ゲー"といわれていますが、
人間誰しもが抱えているような、自分に対する不安 不満 悲観 絶望といったに対して、
"妄想"という 少し変わった力を借りてではありますが、自分自身と改めて向き合う事を助長するように
終盤では特に描かれていたため、読む人にとっては "鬱ゲー"とはなりえないかもしれません。


ですが、この作品が 本当に"鬱ゲー"かどうか
それ自体を考察することも非常に面白みのある作品となってますので、
作品自体の素晴らしさを知って欲しいという意味合いも込めて、機会があれば是非プレイしてみて頂ければなと思います。

スレッドテーマ:美少女ゲーム:ゲーム

メイン

コメント

コメントする

サイト管理者にのみ通知する

トラックバックURL


トラックバック

|

Copyright c 200x xxxxx. All Rights Reserved.

/for one column -->